「食塩の摂りすぎに注意しましょう」
日本で食生活を営むうえでは、耳にタコができるほど聞くセリフだと思います。ラーメン、味噌汁、漬物……。日本人は世界有数の食塩摂取量です。
今日は、そんな食塩摂取ガチ勢の皆様に、よりよい調味料の選び方・使い方について解説していきます!
結論
- 日本人は調味料を中心に食塩を摂りすぎている
- 減塩しょうゆは食塩の量を6割程度まで減らせる
- 調味料をかける量・減らす量を調整するのは有効なので容器を変更してみるとよい
そもそも日本人の食塩摂取量は多いのか
WHOの目標は5g未満なのに日本人は9.8g摂取している
まず誤解なきように申し上げますが、食塩(正確に言えばナトリウム)は体に必要不可欠なものです。極端な話、食塩摂取量が0なら生きていけません。
しかし、過剰摂取が体に悪いことはもはや火を見るより明らかです。
ナトリウムと血圧に関する研究によると、血圧と食塩の摂取量(正確に言えば尿中に排泄されるナトリウム)は関係があることが示されています。要は食塩摂りすぎれば血圧上がって病気になりやすいということですね。
「今は血圧が高くないから大丈夫」という方もいらっしゃいますが、基本的には加齢に伴って血圧は上がります。将来の自分が困らないために、今から少しだけでも減塩することをご提案します。
こうした減塩の必要性を踏まえて、WHOでは1日に摂取するナトリウムを食塩相当量5g未満にすることを勧めています。
一方で日本人はというと、その倍近い量を摂取しています。
食塩摂取量の平均値は 9.8 g であり、男性 10.7 g、女性 9.1 g である。この 10 年間でみると、
令和5年「国民健康・栄養調査」より
男女とも有意な増減はみられない。
男性の方が、食事全体の摂取量が多いことも手伝って、食塩を多く摂っていますね。
日本はかねてより食塩の過剰摂取が課題となっており、厚労省も警鐘を鳴らし続けてきました。減塩は、我々日本人が健康的に生活するためには避けられない課題です。
何はなくともこめみそしょうゆ 日本人は調味料から多くの食塩を摂取している
では、日本人は何からそんなに食塩を取っているのでしょうか?
出典:厚生労働省「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」より引用 アクセス日:2025年10月2日
こうしてみると、調味料から多くの食塩を摂取していることがわかります。食材の中に入っている少量のナトリウムよりも、調味料に含まれるナトリウムのほうが多い、これはイメージ通りではないでしょうか。
なので、本稿では調味料から摂取するナトリウムを減らすための工夫について解説していきます。
余談ですが、上記のグラフでは「塩漬けしたタラ」に含まれるナトリウムは、塩ではなく魚介類としてカウントしています。干物や漬物も、食塩の摂取量には関係しますが、それはまた別の記事で触れることとします。
調味料からのナトリウム摂取量を控えるための方法
方法1:減塩調味料をつかってみる 最大60%減塩できるしょうゆについて
日本人が一番ナトリウムを摂取している調味料は、味噌や塩をおさえて醤油が1位です。
そんな日本人に馴染みある醤油ですが、メーカーも昨今の健康志向の流れを踏まえ、減塩醤油の開発には積極的です。キッコーマンのwebサイトに掲載されていた、減塩醤油の一覧表を引用します。
キッコーマン公式サイト「キッコーマン うす塩しょうゆ」より引用
最大で66%ものナトリウムをカットできているのは素晴らしいですね。
特にいつでも新鮮 超減塩しょうゆ 食塩分66%カットなどに用いられている密封ボトルは優れものです。風味もさることながら、常温で90日も保管できるようになるのが素晴らしい!
一般的に食塩の含有量が少なくなると、保存性が落ちてしまいます。例えば、この66%カットしょうゆより食塩濃度が高いヤマサ昆布つゆでさえ、開封後は冷蔵保存を勧めています。
そんな中で工夫と科学で保存性を高めた製品には称賛を送りたいですね。人類の勝利だ!
欠点としては値段が高いという事が挙げられます。
| 価格 | 100mlあたり 価格 | |
|---|---|---|
| 特選丸大豆 しょうゆ 1L | 572円 | 57円 |
| 超減塩しょうゆ 食塩分66%カット 450ml | 455円 | 101円 |
容器代なども込みでしょうからやむを得ない部分もありますが、日常使いの食品が高いのは困りものです。
それに、極端な言い方をすれば食塩を控えたければ普通の醤油をちょっと使えばいいだけなんですよね。減塩醤油は少ない分量でも風味が感じられる工夫はされていますが、使い分けについては考えたほうがよいでしょう。
刺し身や冷奴など、醤油の風味を直に楽しむ料理であれば減塩醤油のメリットは大いに味わせるかもしれません。しかし、煮込み時間が長く風味が飛びがちな煮物は、普通の醤油を少ない分量で使用するのが合理的だと思います。
方法2:調味料をたくさん使わずに済むような容器の使い方
前述の通り、66%減塩の醤油を使うのも、普通の醤油の使用量を半分にするのも、効果は変わりないのです。であれば、調味料をたくさん使わないように気をつけることも重要です。
しかし「気をつける」という曖昧な目標では、実際に食塩を減らせるひとは稀でしょう。食行動を減らすためには環境を変えることが効果的です。今回は塩の容器や醤油差しを変えてみることをご提案します。
穴が 5 つの塩入れと 17 つの塩入れでは使われる塩の量に差が出るか調べた研究があるのですが、なんと使用量に3.3倍もの差が出ていました。我々は何も考えずに同じ回数だけ塩の容器をふってしまうのです! 人類にとって、適量の調味料を振りかける行為は極めて難しい行為であることがわかりますね!
というわけで、素直に道具の力を借りましょう。塩の出口の穴が1~3個しかない調味料入れ、スプレータイプの醤油差しなどが有効でしょう。

また、単純ですが「食卓の上に醤油差しをおいておかない」というのも効果があります。眼の前にいつでも使える調味長をおいておけば、使ってしまいますからね。
あらためて結論
- 日本人は調味料を中心に食塩を摂りすぎている
- 減塩しょうゆは食塩の量を6割程度まで減らせる
- 調味料をかける量・減らす量を調整するのは有効なので容器を変更してみるとよい
改めてまとめますと、うまく工夫して食塩の摂取は減らそうねということです。今回は調味料にフォーカスを当てましたが、塩漬けの魚介類はどうなのか、調味料の種類によって食塩の影響は変わるのか、そうしたところにスポットを当ててみたいと思います。




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