
食が細くなった……。



すぐお腹いっぱいになっちゃう……。
お年を召したり、何かのご病気があったりすると、食欲が落ちてしまうことは珍しいことではありません。
そんな悩みを抱える方や、そのご家族が、食事の質を上げようと努力するのは素晴らしいことです。しかし、現実的には食事だけで解決するには限界があります。
そこで検討したいのが、医療現場でも活用される「エンシュア」や「メイバランス」といった栄養剤の活用です。これらは単なる補助食品ではなく、深刻な健康リスクを回避するための有効な選択肢です。



今まで約50種類の栄養剤を試飲してきた私が、どんな時に栄養剤に頼るべきなのか、どんな栄養剤の選択肢があるのか解説します!
結論:やせちゃうくらいならエンシュアやメイバランスに頼ろう
- やせて健康上のリスクを背負ってしまうくらいなら栄養剤を飲んだほうがいい
- 低BMIは色々なデメリットがある
- 処方してもらえるエンシュアなどの栄養剤は保険が効くので安い
- ネット通販で買えるメイバランスなどの栄養剤は選択肢が多い
やせている人が「栄養剤」を活用すべき理由
栄養剤の利用は悪じゃない! 有力な選択肢の1つ
栄養剤をおすすめする記事で元も子もないことを言うんじゃないよ! と思われるかもしれません。
でも嘘は言えませんよぉ! 全粒穀物を取り入れ、野菜や果物の量を確保し、魚や大豆製品から良質な脂質とたんぱく質を摂取する……。そういう理想的な食事と比べて、栄養剤が優れていると言える根拠はないのです。
しかし、それであれば栄養剤を使用するのは悪なのでしょうか? 常に100点の食事を摂らなければいけないのでしょうか?
食欲がなかったり、お金がなかったり、時間がなかったり、自炊できなかったり。様々な理由で人は理想の食生活を送れません。



私もラーメン食べちゃったりするし……。
そんな中で、理想的な食生活ではないからという理由で、選択肢を減らしてしまうのは、もったいないです。
「栄養剤さえ飲めばOK!」は言いすぎですが、必要な栄養を取るために栄養剤を使うのは現実的な選択肢の1つ。必要な栄養を食べられなくなってしまった人にとっては、強い味方になってくれるはずです。
必要な栄養素を1本に凝縮していることに価値がある
食が細くなった人、特に高齢者にとって最大の壁は「食事の量」です。
1食分を完食できない場合、ビタミン、ミネラル、そして何より重要なたんぱく質とエネルギーが芋づる式に不足してしまいます。



最低限の量を食べられないと、必要な栄養は確保できません。
そうした中で必要な栄養素を1本のパッケージに突っ込んだ栄養剤は、小容量で必要な栄養を摂れるメリットがあります。
一汁三菜なんて不要! いちエンシュアで済みます! ……とまでは言えません。
しかし、オール・イン・ワンの栄養剤は、あれもこれも食べなければならない、準備しなければならないというプレッシャーを和らげてくれるでしょう。
「やせ(低BMI)」はリスクが高いので栄養剤を飲んででも防ぎたい
どんな人でも、やせ過ぎは体によくありません。その中でも特に高齢期における「やせ」は、肥満以上に深刻なデメリットを招くことが分かっています(1。
- 低BMIがもたらすデメリット
-
- 総死亡率の上昇: 死亡リスクが有意に上昇する
- フレイルの進行: 筋肉量が減少して転倒・骨折のリスクが増える
特に日本人の食事摂取基準において、70歳以上の高齢者の場合、目標とするBMIの下限値は21.5(参考:49歳以下の世代は下限18.5)に設定されています。



厚生労働省が「高齢者は特にやせすぎ注意、と伝えているのです」と言っている、ってことです。
管理栄養士としては格好良く「こうすればバランス良い食事が食べられますよ!」とご提案すべきなのかもしれません。しかし、実感としてそれは難しいことが多いです。
だったら次善の策として栄養剤飲んだって良いじゃない! というのが私の考えです。
賢い栄養剤の選び方:保険適用の「処方」か、自由度の高い「市販」か
もし栄養剤を飲む場合は、何を飲めばよいのでしょう? 今回は処方の栄養剤と、市販の栄養剤の2つに分けてお話します。
医療用(処方薬):市販品の1/3程度の価格だが選択肢は少なめ
医師の診断のもと、処方箋が必要な「エンシュア・H」「イノラス」などは、医療用として扱われています。
処方薬のメリットは、医療保険が適用されるがゆえの圧倒的なコストパフォーマンスです。
エンシュア・Hを2本(750kcal分)処方してもらうと、3割負担の場合で自己負担額は220円前後です。市販品を3本(600kcal分)買おうと思ったら、400~700円くらいかかります。
長期的に、かつ毎日継続して摂取する必要がある人にとって、このコストの差は非常に大きなものとなります。
abbottのwebサイトより引用
デメリットとしては、1度処方されると味変がなかなかできないという不満はよく聞きます。
エンシュア・Hの味の種類は豊富なんですけど、少ない種類のフレーバーしか扱っていない病院・薬局も多いのです。



特別おいしくない訳ではないんですが、長期間同じ味が処方されちゃうと、飽きる人は多いんですよね……。
メジャーなコーヒー味ばっかり処方されて飽きちゃった、というのは栄養士業界ではよく聞くあるあるです。
。
- 医療品の栄養剤は、市販品より効能が優れているの?
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食品や市販の栄養剤と比較して、特別に優れた効能がある訳ではありません。栄養を補給する力は(味や飲み口を除けば)市販品と大差ありません。
- どこで処方してもらえばいいの? 大きな病院じゃないと処方してもらえない?
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普通のクリニックでも処方しているところは多いです。まずは内科系のかかりつけ医に「栄養剤を処方できないか」「エンシュアやイノラスを利用してみたい」と相談すると良いでしょう。
- どんな人が処方してもらえるの? 大病のない私や家族でも処方してもらえる?
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良くも悪くも普通の栄養剤なので、実情としては幅広く処方してもらえることが多いです。普段から定期的に通っているクリニックがあって、食事が食べられない、やせてきてしまったというお悩みがあるなら、相談する価値はあります。
市販品(メイバランス等):圧倒的な選択肢と手軽さ
ドラッグストアやネット通販で購入できる「メイバランス」や「クリミール」などは、処方箋なしで誰でもすぐに始められる栄養剤です。
これらのメリットは、食品ならではの味と形状のバリエーションの多さです。
処方薬は味が限定的ですが、市販品はストロベリー、バナナ、コーヒーなど多様です。
飲み込み(嚥下)に不安がある方も飲み込みやすいゼリータイプやソフトゼリータイプなど、味以外の選択肢も豊富です。
市販品の注意点として、1つ研究をご紹介します。
オンラインの研究で「市販の栄養剤は、処方されるものより(継続できず)すぐにやめてしまう傾向がある」という結果が報告されました。(2メイバランスは、エンシュア・Hよりも長続きしないようです。
ただし、医師や、我々のような管理栄養士から、具体的なアドバイスを受けている場合は、継続率の差がなくなるということも報告されています。
要は「なぜ飲むのか?」「どのくらい飲むのか?」を、専門家に相談できていないと、栄養剤を飲むのを続けられない訳です。



市販の栄養剤を飲む場合も、可能であれば医師や管理栄養士に「こういう栄養剤を飲もうと思うんだけど、どうか?」と相談していただけるといいですね。
- どの栄養剤を選べばいいの?
-
基本的にメイバランス、クリミール、アイソカルなどの有名どころから選んでおけば間違いありません。栄養的な細かい差よりも、続けられるかが大事なポイントです。味、価格、購入しやすさを重視してよいでしょう。
- 甘いのが苦手なんだけど……。
-
乳製品のコクのある甘さが苦手という方は、脂質0のタイプを選ぶとすっきりするでしょう。甘くないスープタイプの栄養剤もあります。
処方栄養剤と市販栄養剤の比較表
| 処方の栄養剤 | 市販の栄養剤 | |
|---|---|---|
| 商品名 | エンシュア・H、イノラスなど | メイバランス、クリミールなど |
| 価格 | 約600kcal分で 300円弱 | 市販品3本(600kcal分)で 400~700円 |
| 機能(栄養の豊富さ) | 十分に良い | 十分に良い |
| 味・形態の選択肢 | 処方されたものしか飲めない | 自由に選べる |
| 始めやすさ | 処方してもらわなければ 始められない | |
| 続けやすさ | 医師や管理栄養士と 相談することになるので 続きやすい | 誰かに相談しないと 続きにくい (かかりつけ医などに 相談できるならOK) |
まとめ:安く済ませたいなら処方してもらおう、選択肢が欲しいなら市販品を買おう
- やせて健康上のリスクを背負ってしまうくらいなら栄養剤を飲んだほうがいい。
- 低BMIは色々なデメリットがある。
- 処方してもらえるエンシュアなどの栄養剤は保険が効くので安い
- ネット通販で買えるメイバランスなどの栄養剤は選択肢が多い
食事が取れないのであれば、栄養剤は十分に検討する価値がある選択肢です。ぜひ検討してみてください。
参考文献
1)厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書
2)Hashizume N, Tanaka Y, Fukahori S, Ishii S, Saikusa N, Koga Y, Higashidate N, Masui D, Sakamoto S, Yagi M.Adherences to oral nutritional supplementation among hospital outpatients: An online cross-sectional survey in Japan.PLOS ONE. 2019;14(9):e0222972.


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