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コーヒーは健康に良いの? 悪いの? 優先して飲むべきなの?

 

 今日は食事というよりは嗜好品寄りですが、コーヒーの話をしようと思います。

目次

コーヒーは体に良い

 まず、健康に良いかといえば(妊婦でない限り)コーヒーは体に良いと言ってよいでしょう。コーヒー摂取と死亡率や病気になりやすい度合いの関連性を検証した観察研究では、コーヒーを3~4杯飲むと、全死亡率や心血管死亡率、心血管疾患やいくつかのがんの発症率が下がることが報告されています。

 何が体に良いのかと言われるとはっきりしない部分もありますが、抗酸化物質やポリフェノールなど、健康に良いとされる成分は含んでいます。全粒穀物や野菜などと比較すると健康に寄与する度合いはすこし弱そうですが、十分に良い食品と言って良いでしょう。

飲み過ぎは良くない 1日4杯程度にとどめよう

 じゃあ飲めば飲むほどええやんけガハハ! とはならないのは栄養業界の常ですね。

 コーヒーにはカフェインが含まれます。カフェインを一時的に過剰摂取すると、中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮などが起こります。極端な例だと、エナジードリンクの多飲による中毒症状例もあります。コーヒーでそこまでのカフェインを飲むのはちょっと骨が折れますが、不可能ではありません。

 長期的な作用としては、人によってはカフェインの摂取によって高血圧リスクが高くなる可能性があること、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性が報告されています。先の研究でも、過剰摂取によってデメリットが発生しうる可能性が示唆されています。

 当然ながら、飲み過ぎは良くない。じゃあ何杯程度にすれば良いのかという話なんですが、これが難しい。研究では5杯程度まで飲むと良い、とされていますが、その5杯ってどのくらいのものなのでしょう。

 例えば、この研究ではコーヒーカップの大きさが統一されていません。私愛用のニトリのデカいマグカップは300mlほど入りますが、カフェでエスプレッソを注文したら多くても50ml程度でしょう。コレって同じ1杯でしょうか?

 インスタントコーヒーにしても、粉の量きちっとg数で量っている方、絶対多くないと思うんですよね。山盛り入れれば3杯分くらいのコーヒーを簡単に摂取できてしまいます。

 こう考えると、1日◯杯にするという目標は実情にそぐわないケースもあるだろうなと思っております。

 というわけで、 本稿ではコーヒーにはコストが掛かることも踏まえて、少し控えめに1日4杯程度がおすすめという態度を取らせていただきます。

コーヒーのコストを考える インスタントなら1杯20円以下

スクロールできます
1杯あたりの価格
スターバックス
ブリュードコーヒーTall
420円
セブンカフェ
ホットコーヒー R
140円
カルディ
マイルドカルディ200g(豆)
58円
(200gで1,166円)
ネスカフェ
ゴールドブレンド 120g(インスタント)
13円
(120gで758円)
トップバリュ
チルブレイクインスタントコーヒー100g
11円
(100gで559円)

 こうしてみると、普通のカフェで毎日4杯コーヒー飲むのは、庶民にはちょっとハードルが高そうです。というか、1日複数回カフェに行くのってあんまり現実的じゃない気がします。職場に併設されてるとかならありえるんでしょうか。

 家で飲める豆なら、価格はそれなりに抑えられます。時間にゆとりがある人なら1日3~4回くらいコーヒーを淹れるのも優雅でいいかもしれませんね。

コスパ面から考えるコーヒーの機能

 当ブログではこれまで、全粒穀物や野菜・果物、そして魚といった、いわゆる「健康に良い食品」をご紹介してきました。これらは数多くの研究で健康への有益性が裏付けられており、さらに生きていくうえで欠かせない栄養素を含んでいるという特徴があります。

 一方でコーヒー。こちらも「健康に良い可能性がある」と数多くの研究で示唆されています。しかし筆者としては、どうしても弱点を感じてしまいます。それは 生存に不可欠な栄養素を多く含んでいるわけではないという点です。お金を払ってまで、コーヒーを飲む価値はあるのでしょうか?

食事摂取基準から見た「生きるための栄養素」

 ここで少し視点を広げて、「日本人の食事摂取基準」をご紹介します。これは、健康な日本人がどの栄養素をどれだけ摂れば健康に生活できるかを示したものです。

 炭水化物、たんぱく質、脂質、食物繊維、ビタミン、ミネラル。これらはすべて、生存のために必要な栄養素です。食事摂取基準では、その摂取量の目安が示されています。

 これらはいずれかの食品から摂取しないと、生存し続けることが困難になってしまいます。例えば、ベーコンと、砂糖たっぷりのお菓子とジュースは体に悪いといえます。とはいえど、今からコーヒーしか飲まない人と、今からベーコンとお菓子とジュースしか食べない人は、後者の方が長生きするでしょう。前者は1ヶ月位で飢え死にしてしまうでしょう。

 極端な例ですが、良いも悪いもさておき、ある程度のメシは食わねばならない。当たり前のことです。

 全粒穀物、野菜や果物、魚といった食品は、健康効果が科学的に裏付けられているだけでなく、これらの栄養素を補えるという大きなメリットがあります。

コーヒーの位置づけはあくまで嗜好品

 では、コーヒーはどうでしょう。健康に良いとされる成分は含んでいます。しかし、生存に必要な主要栄養素が豊富かというと、そうとは言い難いのです。食品成分表でコーヒー浸出液を見てみると、意義がある量含まれているのはカリウムくらいでしょうか。

 その意味で、筆者としてはコーヒーは「健康に良い食事」ではなく、「健康に良い嗜好品」と表現するのが適切であると感じています。

 嗜好品として楽しみながらも、私たちが限られた予算や時間の中で優先的に口にすべき主役は、やはり 全粒穀物・野菜・果物・魚といった栄養素をしっかり供給する食品群 であると考えられます。

 嗜好品として美味しいから飲むんだ! 楽しむためにカフェに行くんだ! というのは良いと思います。しかし、健康のためにわざわざコーヒーを頑張って購入し、飲む時間を確保するくらいならば、違うところに力を入れたほうがコスパが良いかもしれません。

結論

  • コーヒーは1日4杯程度までは体に良い。
  • コーヒーは妊婦には勧められない。
  • コーヒーは豆から挽くと1杯60円程度、インスタントだと1杯20円程度。
  • 健康のためにコーヒーを飲むのは良いけど、全粒穀物や野菜・果物などを優先して摂取したほうがコスパは良さそう。
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この記事を書いた人

管理栄養士歴15年以上のヨシと申します。
世の中の栄養情報を噛み砕き、結局どうすりゃよいのかを発信していきたいです。

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