友人からこんな質問を受けました。
「里芋は野菜扱いしていいの? なんとなくじゃがいもはダメな気がするんだけど」
芋は野菜に入るのかという論争は、栄養業界でもしばしば取り上げられます。
ヨシこの記事を読めば、食生活を送るうえでじゃがいもや里芋をどう扱えば良いかがわかります!
結論
- 芋が野菜かどうかはどうでもいい
- 里芋は食物繊維+主食っぽいものと考える
- じゃがいもはフライドポテトじゃなければ悪いもんじゃない
芋が野菜か否かは場合による
まずは芋は野菜なのか否か。分け方によって様々なので、気にしすぎてもしょうがないです。
食事バランスガイドを例にとってご説明します。
食事バランスガイドは、何をどれだけ食べればよいかをまとめたガイドラインです。詳しくは別記事で解説しておりますので、そちらを参照してください。


この中では芋は副菜(野菜のおかず)として扱われています。
- ポテトサラダ
- ほうれん草のおひたし
- 里芋の煮っころがし
- 人参のグラッセ
これらすべてを野菜として扱います。
その一方で、沖縄の食事バランスガイドでは芋が主食として扱われています1。沖縄ではさつまいもを主食として食べる文化があるからです。
このようにケース・バイ・ケースで分類は変わります。読者の皆さまがこの定義を気にしすぎても実用上のメリットがありません。



定義ではなく、我々が実際に食べるときにどうすべきかを考えたほうが良いでしょう。
里芋やかぼちゃは「食物繊維+主食っぽいもの」と捉える
野菜なのか? 主食なのか? 結局はっきり結論をだせないならどう考えるべきなのでしょうか。
里芋は食物繊維+主食っぽいものと考えるとすっきりします。
里芋は食物繊維がたっぷり摂れる
前提として、食物繊維はたっぷり取るべき栄養素です。
食物繊維は、体重、コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、血圧、空腹時血糖を改善することが報告されています2。
日本人の食事摂取基準でも食物繊維はしっかり摂るべき栄養素として定められています。
では芋類の食物繊維量はどのくらいなのでしょうか? 食品成分表を参考にして、主食・芋類の食物繊維量(うどん以外はプロスキー変法総量)を一覧にしてみました。
| 食品 | 100kcalの重量(g) | 炭水化物(g) | 食物繊維総量(g) |
|---|---|---|---|
| 玄米めし | 65.8 | 23.4 | 0.9 |
| 精白米めし | 64.1 | 23.8 | 0.2 |
| ゆでうどん | 105.2 | 22.7 | 1.4(参考値) |
| ゆでそば | 76.9 | 20 | 1.5 |
| 食パン | 40.3 | 18.7 | 0.9 |
| 全粒粉パン | 39.8 | 18.1 | 1.8 |
| さつまいも蒸し | 76.3 | 24.3 | 1.8 |
| ながいも水煮 | 172.0 | 21.7 | 2.4 |
| さといも水煮 | 192.3 | 25.8 | 4.6 |
| じゃがいも蒸し | 131.5 | 23.8 | 2.2 |
| 日本かぼちゃゆで | 181.8 | 24.2 | 6.5 |
参考までに、食物繊維を豊富に含むとされる全粒穀物を薄い青色で色づけてみました。
こうしてみると、里芋やかぼちゃは玄米や全粒粉よりも食物繊維が豊富と言っても良さそうです。
里芋やかぼちゃは野菜のように食物繊維が豊富で、主食のように炭水化物のエネルギーも摂れる食品ととらえてよいでしょう。
長芋やさつまいもは里芋ほどではないにしろ、まあまあ食物繊維がとれるくらいの位置づけになります。



さつまいもめっちゃ繊維質だと思ってたけど、大したことないんだな……。
主食のように炭水化物を摂れるけどエネルギーは低め
里芋やかぼちゃは、主食のように炭水化物が豊富ではあります。
しかし里芋やかぼちゃだけで主食を賄おうとすると、かなりの量を食べなければいけません。
ご飯茶碗にサラッと1杯分(170g)と中程度の里芋水煮10個は概ね同じエネルギーです。
白ご飯.comさんの里芋の煮付けがちょうどそのくらいだったので、画像を引用させていただきます。


こうしてみると結構なボリュームです。これでようやくご飯1杯分と同じくらいのエネルギーです。



健康に悪いわけではないですが、主食として里芋10個を食べるのはちょっとキツイかも。
とはいえど、米と比べてエネルギーが低いというのは「エネルギーの摂りすぎを防ぎつつ食物繊維が摂れる」ということでもあります。一概に悪いとは言えませんね。
このあたりの現代日本では主食にはなりきれない部分を「食物繊維+主食っぽいもの」と表現しました。
じゃがいもは揚げなければ悪くない
冒頭の質問をくれた友人は、じゃがいもに対してはあまりいいイメージを持っていないようでした。私もこの記事を書く前はそうでした。
ジャガイモに関する結論としては「マックフライポテトはオススメしない! それ以外のじゃがいもはさほど悪くない」って感じですね。
フライドポテトは体に悪い
マクドナルドのニュースリリース記事を見ると、マックフライポテトは年間8億食も食べられているそうです。もはや地球規模の人気商品ですね。
マクドナルドの記事でも解説した内容ですが、マックフライポテトは牛脂とパーム脂で揚げられています。いかに人気があろうとも、管理栄養士としてはおすすめしない食品です。


では実際にフライドポテトを食べた人たちはどうなっているのでしょうか?
マクドナルドに限らず、フライドポテトなど揚げたじゃがいもをたくさん食べる人たちは2型糖尿病および高血圧になりやすいという研究結果があります34。病気になりやすくなるのは確かです。
フライドポテトだけでは済まない ジュースの追撃
さらに管理栄養士としては「フライドポテトだけで済むのか?」という疑問も浮かびます。



おーい、生成AI! ちょっと「フライドポテトに合うもの」と「玄米に合うもの」の写真を作ってみてくれ!


……どうでしょう。私としては結構妥当な画像に見えます。
フライドポテトを食べるときには、ジュースやクリーム、加工肉といった体に悪いものを食べがちです。
マクドナルドに行って、ポテトだけ食べて返ってくるなんてありえないでしょ? 絶対コーラ飲むじゃん!
フライドポテトは単体では終わらずに、健康に良くない食生活の一因となり得ます。
揚げなければ悪いものではない
一方で同じ研究の中で、茹でたり焼いたりしたじゃがいもを食べることは、病気になりやすいこととは関連がなかったあるいは小さかったことも明らかになっています34。
マッシュポテトや粉吹き芋などの料理を、過度に避ける必要はなさそうです。
当たり前といえば当たり前なんですが、じゃがいもだろうがなんだろうが、牛脂やパーム脂で揚げれば大体のものは体に悪くなります。
フライドポテトが体に悪いというより「フライドポテトが美味しくて世界に広く普及した。その結果、フライドポテトを食べすぎてエネルギー・飽和脂肪酸を過剰摂取してしまう人が増えた」と表現すべきだと思います。



もしフライド里芋が普及した世界があったなら「里芋は体に悪い!」という研究結果が出ていたかもしれませんね。
栄養素だけに着目するなら、じゃがいもは食物繊維やカリウムを豊富に含んでいるので、あまり悪い理由がないんですよね。
プロとしては恥ずかしながら、私もこの記事書くまではじゃがいもに良いイメージを持っていませんでした。フライドポテトに引っ張られすぎでしたね。
これからは偏見無くじゃがいもにも向き合って行きたいです。
だがマックフライポテトは許さーん!
まとめ:芋は野菜とは言い切れないけど食物繊維豊富で悪くない
- 芋が野菜かどうかは定義や食べ方によるので気にしすぎてもしょうがない
- 里芋やかぼちゃは食物繊維+主食っぽいものと考える
- じゃがいもはフライドポテトじゃなければ悪いものではない
じゃがいもや里芋は、分類に惑わされず特徴を理解して選べば、普段の食卓を彩ってくれます。食べ方を整えて、上手に活かしましょう。
参考文献
1)農林水産省webサイト.料理区分が難しいもの.参照2025-11-13
2)Reynolds, A., Mann, J., Cummings, J., Winter, N., Mete, E., & Te Morenga, L. (2019). Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. The Lancet, 393(10170), 434-445.
3)Schwingshackl L, et al. Potatoes and risk of chronic disease: a systematic review and dose-response meta-analysis. Eur J Nutr. 2019;58:2243-2251.
4)Mousavi S.M., Gu X., Imamura F., AlEssa H.B., Devinsky O., Sun Q., Hu F.B., Manson J.E., Rimm E.B., Forouhi N.G., Willett W.C. Total and specific potato intake and risk of type 2 diabetes: results from three US cohort studies and a substitution meta-analysis of prospective cohorts. BMJ. 2025;.





コメント